高嶺の花男くん

今のコト 過去のコト

最後のキス

クールダウンと言いながら

Mさんの話は続く…



別れてもMさんのことを

忘れることはできなかった。


会うことはなかったけど

Rさんの家の前に停まっている

Mさんの車は、よく見かけた。


今日も来てるんだ…

今日は泊まったんだ…


私の通勤途中にRさんの家があるので

嫌でもわかってしまう。


こんな状況で、どうやって忘れたらいいの?

切なくて泣きたくなる…




半年くらい経った時、Mさんの友達Hさん

から電話がきた。


『久しぶりだなー。元気か?

今日、暇?』


うんって、言うと


『ちょっとかわるね…』


そして…『もしもし…』って。


胸がキュンってした。


『…わかる?』


わかるに決まってるじゃん。

大好きな人の声、忘れるわけない…


『えー、誰ー?わからない(笑)』


泣きそうになるけど堪えて言った。

Mさんも笑って


『もう忘れたかー(笑)

今、飲んでるんだけど来ないか?』って。



「行かない」なんて選択肢ないから…



Y子も誘って、いつもの店に。


ドキドキしながら入ると

HさんとMさんがいた。


どんな顔していいのか…


とりあえず

『遅くなってごめんねー』って。


HさんがMさんの隣に移動して

Y子がHさんの向かいの席に。

なので、私はMさんの向かいの席。


いやいや、顔見れないから😂


『久しぶりだな😊』ってMさんに言われて

ドキドキしながら顔を見た。



あー…変わらない笑顔…

やっぱり、好きかも…

かもじゃなくて

好き…


もー、Mさんは胸キュン王子だ。


キュンキュンしながら飲む。

苦いビールをグビグビ飲んだ。

素面では無理。


Mさんへのドキドキか

酔ってドキドキしてるのか

わからなくなった頃


やっと、Mさんのこと

ちゃんと見れるようになった。


1時間くらい経った時、Hさんが

『俺、明日も仕事だから先に帰るわ。』って


そしたら、Y子も

『私も帰るね。Hさん、途中まで一緒に

帰ろ~』って。


私とMさん2人になってしまって。


『花子は時間大丈夫?』ってMさん。


『大丈夫…だけど、Mさんは?』って

聞いたら


『俺も大丈夫😊』って。


あー、また胸キュン王子。


でもね、2人でいると、錯覚しちゃうよ。

別れたなんて嘘で。

他の人と結婚するのも嘘って。


何も変わらないんじゃないかって。

だって…

目の前には優しい笑顔のMさんがいるから。


でも…嘘じゃない

錯覚じゃないんだよね…

でも、今だけ…


店に誰もいなくなって

Eさん(ママさん)も奥に行って

Mさんと2人きり。


『花子…俺な…○月に結婚するんだ。』


真面目な顔でMさんが言った。

やっぱり嘘じゃないんだ…


『そっかぁ。おめでと😊』


言った後で涙が出た。


『ごめんな…』ってMさん。


何も言えずにいる私の頭をポンポンして。


そして、最後に歌ってくれた。

杉山さんの曲。


1番好きな曲なんだって。

私も大好きな曲。



Mさんが○○に行くって聞いた時

車で流れてたね。



この歌詞のように思ってくれてる?


そんなことを思いながら聴いていた。



しばらくして…


『帰るかー。送って行くよ』って。



雪の降る中を2人で歩いた。

手を繋いで。ゆっくりゆっくり。

もう、手を繋ぐこともないのかなって

ギュって握りながら思ってた。


私の家の前で止まり…


『花子…』って優しい声で。

Mさんを見ると、Mさんも私を見てて…



抱きしめられた…

優しく…そして、強く。

Mさんの匂い…泣きながら感じる。


そして、キスした。何度も何度も。


で、また抱きしめられて。


『花子…イイ男見つけれよ』って言って

帰って行った。


『行かないで。一緒にいて。』


声に出したらMさん、どうしてたかな?

最後に我儘言えばよかった。



こんなことされてイイ男みつけられる

わけないだろ…と、今は突っ込むけど。



家の前、昼間は目の前の道路を

車がビュンビュン走る…

そんな路上での出来事。


真夜中とは言え、近所のおばちゃん

こっそり見てなかっただろうか。

クールダウン

今から、かなり前の話をあれこれ

せっせとポチポチしてきたけど。



すっかり嵌まってしまった。


Mさんと別れた時のなんて、泣きながら

ポチポチしてたからね。バカだね😅



何の為にやってるのか。

冷静になって考えてみる。



…答えなんて出ない。



杉山さんの曲を聴いて

何か思い出しちゃったんだよね。

Mさんのこと。


結婚して、たまに思い出すくらいだったのに


最近は、ほぼ毎日ポチポチしてるせいで

毎日、頭の中はMさんでいっぱい。


『サイレンスがいっぱい』を聴きながら

『サイレンスがいっぱい』を歌ってる

Mさんを思い出す。



そーだ。

そもそも、Mさんと似たような顔で

『気が狂いそうさ』と切なく歌う

杉山さんが悪いんだ。


いや、それをYouTubeで見て胸キュンする

私が1番悪い…誰のせいでもない。




少し落ち着かなきゃ。


どんだけ想っても


願っても


もう届かないから。




私には宝物がある。


手を繋がないと怒ったり

私の取り合いをしたり

しつこいくらいギューってしたり

寝相悪くて顔面キックしたり

私がいないと泣いたり



ちょっと面倒な時もあるけど

可愛い、愛しい宝物。


Mさんと別れたからこそある、大切な宝物。


だから大丈夫大丈夫。

眠れぬ夜は君のせい

『花子…』


大好きなMさんの声で目が覚める。


優しい笑顔のMさんがいて


やっぱり好きな人なんていなかったんだね。


Rさんと付き合ってなかったんだね。


夢だったんだね。



嬉しくて涙が出る…




目が覚めると、そこにはMさんは居なくて


優しい笑顔もなくて…


ただ涙だけは現実。


そんな毎日を繰り返していた。




Y子に誘われて飲みに行く。

何か話があるみたいで。



飲み初めてすぐにY子が言う。


『Mさん…結婚するって。Rさんと。

この前、飲み会でね、Mさんに会ったの。

その時に言ってた。

そしてね…これは花子には言うなって

言われたんだけどね…

あ、結婚することじゃなくて、

これから話すこと。』


Y子が続ける。


『花子に話すか悩んだけど…

話さない方がいいのかもしれないけど

やっぱり友達だから黙ってられなくて。

あのね、Mさんが花子と別れた理由。

本当の理由…好きな人ができたんじゃ

なかったの。


別れた前の日にFさんに会ったんだよね。

Mさん。花子もそれ気にしてたよね?

やっぱりFさんだったんだよ。

Fさんがね、Mさんが○○に行ってる時に

花子と…寝たって。

Mのことは忘れたい。忘れさせてって

言ってたって。

酷いよね、Fさん!


だからね、それは違うって。

友達の結婚式の2次会でFさんに会って

Mのことで話があるって言われたから

話した時に、Mに彼女いるって言われて

無理矢理キスされたこと言ったの。

ごめんね。勝手に話して。


そしたらね、そんなこと花子に聞いてない

って。花子が俺に言えなかったのは

Fの話が本当だからじゃないの?って。


何度も何度も違うって言ったんだけど…』



信じてくれなかったんだね…



『○○にいた時に好きな人なんて

いなかったし、付き合ってもいない。

花子のこと好きで忘れられなかったって。

でも、Fさんから電話きて、花子とDが

付き合ってるって聞いて

もうダメなのかなって思ったって。


で、こっちでFさんから花子とのこと聞いて

信じたかったけど、疑う気持ちもあって。

俺のこと好きで忘れられなかったって

言った花子の言葉も嘘だったのかなって。


この先、付き合ってても、きっと

ずっと、どこかで疑ってしまう。

知らない人なら忘れることもできるかも

しれないけど、Fは友達だし。


だから、好きな人がいるって嘘ついた

って。』



やっぱり、好きな人なんて

いなかったんだね。


でも、私もね…

Fさんから、Mさんに彼女いるって

聞いた時、信じたかったけど

疑う気持ちの方が強かったかも。


Mさんと会った時、ちゃんと話せば

良かったね。

Fさんとのこと。

Mさんに彼女いるって言われたこと。

キスされたこと。



もう遅いけどね…



『でね、Rさんのこと聞いたの。

好きだったの?って。

Rさんとは花子と別れた後で知り合って…

ちょうどRさんも付き合ってた人と

別れた後だったらしくて。

タイミングなのかなって言ってた。


だからね、花子は今でもMさんのこと

好きで好きで忘れられないんだよって。

花子のことは、もう忘れちゃったの?って。


そしたらね…忘れるわけないだろって。

本当に結婚しようと思ってたって。


花子には俺じゃなくて他の人と

幸せになってほしいって。』



悲しいはずなのに…


○○にいた時に、

私のことが好きで忘れられなかったこと。


本当に結婚したいと思ってたこと。



ただ、それだけが嬉しかった。