高嶺の花男くん

今のコト 過去のコト

会いたくて会いたくて

Mさんのこと忘れるのを待ってると

言ってくれたDさん。


Dさんの優しさが嬉しかった。



でも…


Dさんの優しさに甘えることはできなかった



月日が過ぎても、Mさんのこと

忘れるどころか、気持ちは変わらないまま。


切なさだけが増えていって。



飲みに行っても、Mさんに会うことはなく


好きな人と、その後どうなったのか


気になっていた…




K子から電話がきて


『会社の人から聞いた話なんだけど

Mさんね…Rさんと付き合ってるって。』



Rさんって。かなり年上の?

えっ…○○にいる好きな人じゃなく?


好きな人って、Rさんだったの?


K子も聞いた話だから本当かは

わからないけど、一緒にいるのを

見た人がいるって。



一緒にいるだけじゃ、付き合ってるか

わからない…きっと、違うよね…


違うと思いたかった。





会社の飲み会で、いつもの店に行く。

先に入った先輩が慌てて出てくる。


『混んでるから別の店に…』と。


上司が

『予約してるから大丈夫だよ』と入る。


私も続けて入った。


本当に混んでいて、カウンターは満席で。

予約していたテーブル席に座った。

座ってカウンター席にいる人を見た。



私の真っ正面の席に、Mさんがいた。


後ろ姿だったけど、すぐにわかる。


隣には、Rさんがいて、楽しそうに話してた。



やっぱり本当だったんだ…


Mさんの優しい笑顔。


久しぶりに見た優しい笑顔は


今はRさんに。



MさんとRさんがいたから

先輩は違う店にって言ってくれたんだね。

私がまだ好きなこと知ってるから。


優しさが嬉しかった。



悲しくて泣きそうになったけど

必死で堪えた。

泣いてるとこMさんに見られたくないから。



でも、やっぱり…

目の前で、好きな人が他の女性と

楽しそうに話してるのを見るのは

辛過ぎて。


『飲み過ぎました。

先に帰ります。すみません💦』と

店を出てきてしまった。



やっぱり本当だったんだね。


違うって思いたかったけど…


どこかで…心のどこかで…

『好きな人』なんて本当はいないんじゃ

ないかって思ってたのに。


本当だったんだね…



そのまま家に帰りたくなくて

近くの公衆電話からK子に電話した。

でも、いなかった。


Y子も今日は飲み会って言ってたし。


何だかひとりぼっちって感じで余計

悲しくなった。

Lemon

『結婚考えてる』って言ったMさん。


『好きな人がいる』って言ったMさん。



私は、Mさんに好きな人がいるなんて

信じられない。


あの笑顔が嘘だなんて思いたくない。



でも、『好きな人がいる』と言われたのは

現実で。



天国から地獄って、こんなこと言うのかな


なんて考えてた。



でも、気になることが1つ。

『好きな人がいる』と言われた前日。

MさんはFさんと会っているから

やっぱり何か言われたんじゃないのかって。


でも、それなら『好きな人がいる』

なんて言わないよね…





その日から、またMさんのことを

思う日が続いた。


もう届かない悲しい片想い。





1ヶ月後…


Y子から、いつもの飲み会に誘われた。


Y子の先輩とDさんもいる飲み会。


Mさんと再会してから、Dさんと会うことは

なかった。

電話もなかった。

きっと、Y子から先輩、先輩からDさんに

話はいってたんだと思うけど。



久しぶりに会うDさんは、何も変わらなくて


『久しぶりだね😊』って。



Mさんと別れたことも知ってるよね。



飲み会は楽しかった。


楽しかったけど…Mさんのことばかり

思い出してしまう。


Mさん、来るんじゃないかなって。


会いたくて会いたくて。



来たとしても、どうにもならないのに。


もう、あの笑顔で見つめてはくれないのに。




やっぱり…来なきゃよかった…


って思った時。




『あー、俺、ちょっと酔ったかな😅

悪いけど先に帰るね。

花ちゃん?途中まで一緒に来てくれる?』



って、Dさんが言った。



びっくりしたけど、一緒に行くことに。

そんなに飲んでなかったと思うけど

調子悪いのかと思って。



外に出て歩きながら…


『Dさん、大丈夫?酔っちゃった?』

って聞いたら


『いや、全然酔ってないんだ。

ごめんな。嘘ついて。

花ちゃんと二人で話したくてさ。』って。



『えー、そうなの?

具合い悪いのかと心配したのに(笑)』


って言ったら


『いやいや、心配したのは俺の方だよ。

花ちゃん、泣きそうな顔してたし。』


って言われて、何も言えなくなった。


歩いてたらDさんの家の前まで来て


『入る?』って言われたけど…


入らなかった。



『じゃ、もう少し話したいから

俺の車の中で話してもいいかな?』


ってDさんの車に。



Dさんは家に行って、缶コーヒーと

ジュースを持ってきてくれた。



Mさんとのこと、先輩から聞いてたよって。


付き合ったこと。


好きな人がいるって言われたこと。


別れたって聞いて、電話したかったけど

できなかったこと。


今日会えて嬉しかったこと。


ゆっくりゆっくり話してくれた。



私もMさんと再会してから別れるまでの

ことを話した。


Mさんに会うまではDさんのこと

好きになりかけてたこと。


でも、そのことをMさんに言えなかった

こと。


別れても好きなことも。



Dさんは黙って頷きながら聞いてくれた。


そして…


『別れても好きなのは仕方ないよ。

そんなすぐには…簡単には忘れられない。


俺もね…あっ、聞いてるかな?

前に付き合ってた人のこと…

もう結婚して子供もいるんだけど

何か思い出しちゃうんだよね。

未練たっぷりみたいで情けないけど。


でもね、飲み会で花ちゃんと会って

話すようになって。

俺も好きになりかけてた…と言うか

好きになっちゃってたかな。

でも、Mと付き合ってること聞いて…

先に言えば良かったって後悔したよ。


あいつ(Y子の先輩)に、だから、前に

花ちゃんと2人にしてやったのにって

言われて。ホントそうだよなって。』



Dさんの気持ち、初めて聞いたな。


前に、『嬉しい』って言ってくれたのは

ホントの気持ちだったんだね。



『今は無理かもしれないけど…

時間が経って、少しずつ忘れて…

完全には忘れられないかもしれないけど

少しずつ少しずつね。

それまで待ってるよ。』って言ってくれた。

おなじ星

コタツに入って妄想してるうちに


気持ち良くなって寝てしまった。





『花子、花子!』ってMさんの声がして


目を開けるとMさんがいた。



『おかえり』って言うと


『ただいま😊』って。



Mさんは私に何度胸キュンさせるんだろ…



妄想してたことが、ひとつ叶った。


寝ちゃったのは失敗だけど。





でも、もう妄想してたことが叶うことは


なかった。


合鍵も、この日が最初で最後。




数日後…


Mさんに会いたくて電話した。


でも、友達と約束してるからって。


明日は大丈夫だよって。



その友達って…Fさんで。


すごく嫌な予感がした。


行ってほしくなかったけど


止める理由がなかった。



次の日…


仕事が終わって帰ってきたらMさんから


電話がきた。


『これから行くね』って。



大丈夫大丈夫って言い聞かせながら


Mさんが来るのを待った。



車に乗ってMさんを見た。


うん、大丈夫。いつもと同じ…



久しぶりにドライブしたね。


最近はMさんのアパートに行くことが


多かったから。



空港近くの駐車場。


何度も来たけど、空港も海も町の夜景も


キレイに見える。



Mさんといると安心する。


でも、好き過ぎて切なくなる。


切なくて切なくて、不安になる。


いつか終わってしまうんじゃないかって。


『結婚考えてる』って言ってくれたけど


不安でいっぱいだった。


幸せなはずなのにね。






『俺…好きな人がいるんだ。』


Mさんが突然言った。


突然過ぎて何を言ってるのか…



『○○にいた時に知り合った人。

好きになって…

その人も好きになってくれた。

花子には、花子のこと好きで忘れられ

なかったって言ったけど。

その人と付き合ってた。

でも、別れたんだ。こっち来る前に。


でも…やっぱり忘れられなくて…。』



Fさんの言ってたことは嘘じゃなかった。

彼女いるって。


嘘ついてたのはMさんだったの?

私のこと好きで忘れられなかったって。

結婚考えてるって。


あの優しい笑顔も…



でも、嘘ついてたのは私もだね。


Dさんのこと好きになりかけてたのに。


Mさんのことだけ思ってたみたいに。



でも…ホントに好きだったよ。Mさんのこと。


好きで好きで。


会う度に好きになって。


好き過ぎて切なくなって。


ホントに気が狂いそうになるくらい…


好きなのに。




私の片想いだったのかな…




星の数ほど訪れる巡り逢いの中で

気づけば こんなに近くに

いつも あなたがいたよ…