高嶺の花男くん

今のコト 過去のコト

眠れぬ夜は君のせい

『花子…』


大好きなMさんの声で目が覚める。


優しい笑顔のMさんがいて


やっぱり好きな人なんていなかったんだね。


Rさんと付き合ってなかったんだね。


夢だったんだね。



嬉しくて涙が出る…




目が覚めると、そこにはMさんは居なくて


優しい笑顔もなくて…


ただ涙だけは現実。


そんな毎日を繰り返していた。




Y子に誘われて飲みに行く。

何か話があるみたいで。



飲み初めてすぐにY子が言う。


『Mさん…結婚するって。Rさんと。

この前、飲み会でね、Mさんに会ったの。

その時に言ってた。

そしてね…これは花子には言うなって

言われたんだけどね…

あ、結婚することじゃなくて、

これから話すこと。』


Y子が続ける。


『花子に話すか悩んだけど…

話さない方がいいのかもしれないけど

やっぱり友達だから黙ってられなくて。

あのね、Mさんが花子と別れた理由。

本当の理由…好きな人ができたんじゃ

なかったの。


別れた前の日にFさんに会ったんだよね。

Mさん。花子もそれ気にしてたよね?

やっぱりFさんだったんだよ。

Fさんがね、Mさんが○○に行ってる時に

花子と…寝たって。

Mのことは忘れたい。忘れさせてって

言ってたって。

酷いよね、Fさん!


だからね、それは違うって。

友達の結婚式の2次会でFさんに会って

Mのことで話があるって言われたから

話した時に、Mに彼女いるって言われて

無理矢理キスされたこと言ったの。

ごめんね。勝手に話して。


そしたらね、そんなこと花子に聞いてない

って。花子が俺に言えなかったのは

Fの話が本当だからじゃないの?って。


何度も何度も違うって言ったんだけど…』



信じてくれなかったんだね…



『○○にいた時に好きな人なんて

いなかったし、付き合ってもいない。

花子のこと好きで忘れられなかったって。

でも、Fさんから電話きて、花子とDが

付き合ってるって聞いて

もうダメなのかなって思ったって。


で、こっちでFさんから花子とのこと聞いて

信じたかったけど、疑う気持ちもあって。

俺のこと好きで忘れられなかったって

言った花子の言葉も嘘だったのかなって。


この先、付き合ってても、きっと

ずっと、どこかで疑ってしまう。

知らない人なら忘れることもできるかも

しれないけど、Fは友達だし。


だから、好きな人がいるって嘘ついた

って。』



やっぱり、好きな人なんて

いなかったんだね。


でも、私もね…

Fさんから、Mさんに彼女いるって

聞いた時、信じたかったけど

疑う気持ちの方が強かったかも。


Mさんと会った時、ちゃんと話せば

良かったね。

Fさんとのこと。

Mさんに彼女いるって言われたこと。

キスされたこと。



もう遅いけどね…



『でね、Rさんのこと聞いたの。

好きだったの?って。

Rさんとは花子と別れた後で知り合って…

ちょうどRさんも付き合ってた人と

別れた後だったらしくて。

タイミングなのかなって言ってた。


だからね、花子は今でもMさんのこと

好きで好きで忘れられないんだよって。

花子のことは、もう忘れちゃったの?って。


そしたらね…忘れるわけないだろって。

本当に結婚しようと思ってたって。


花子には俺じゃなくて他の人と

幸せになってほしいって。』



悲しいはずなのに…


○○にいた時に、

私のことが好きで忘れられなかったこと。


本当に結婚したいと思ってたこと。



ただ、それだけが嬉しかった。